【ドローン直播レポート】播種から1か月を経たリゾケア®XL。安定の初期生育とシンプルな水管理・雑草管理がもたらす可能性。

梅雨の晴れ間に恵まれた6月22日、ドローンによる播種から約1か月を経たリゾケアXLの圃場には青々とした苗が風に揺れています(前回のレポートはこちら)。「こっちは移植栽培の田んぼ。こっちはリゾケアXLをドローンで直播した田んぼ。ほら、生育状況はまったく変わらないでしょ」と、隣り合う圃場を前に目を細める株式会社夢ファームむげん(福島県喜多方市)の新田代表と十二村さん。
播種、出芽、苗立ちの様子、その過程で実感したリゾケアXLの魅力と可能性について、お二人の率直な感想を伺いました。
田面の状態に左右されない苗立ちの良さを実感
開口一番「自分でコーティングする必要がない手軽さは言うに及ばず、田面の状態に左右されにくい苗立ちの良さも十分に実感することができました」と笑顔を見せてくれた新田代表。一般的な直播栽培は田面が柔らかすぎると種子が土中に埋まってしまい芽が出にくく、硬すぎても鳥害を受けやすく浮き苗になりやすいため、代かきで“硬すぎず柔らかすぎず”の田面に仕上げなければなりません。リゾケアXLは酸素供給剤の作用で土中に埋没しても発芽率が良好なため、代かきに気をつかわなくて良いことも大きなメリット。
新田代表も「移植栽培と同じように代かきを行ったのですが、苗立ちを見ると問題ないようですね。今回は田面を柔らかめに仕上げたのですが、ドローンでまいた種がちょうど良い深さ(0.5〜1cm)に埋まってくれたと思います」と春の作業を振り返ります。
【リゾケアXLの苗立ちを確認する新田代表と十二村さん】

安定した苗立ちと良好な初期生育
さらには苗立ちの揃いと初期生育の良さにも驚かれたという新田代表。「以前実施したコーティング種子による直播とは比較にならないほど苗立ちが良かったと思います。生育の早さにも目を見張るものがありました。播種から10日後の6月1日には水面から芽が見え始めましたので、発芽自体はそれより2〜3日は早かったのではないでしょうか。」
【株式会社夢ファームむげんの新田義智代表】

春の作業についても「これまで直播栽培は地域の方々と用水について調整を重ね、移植栽培よりも2週間以上前から堰上げなどの作業を始め、種をコーティングしたらすぐに播種しなければなりませんでした。リゾケアXLはコーティング済み種子が届き、保存もきくから、移植の田んぼと並行して作業できる。発芽が早く生育も良いということで移植の8日前に播種したのですが、まさか1か月で移植した苗と同じレベルまで生長するとは思いませんでしたよ」と新田代表。また、今年の移植栽培の田んぼには漉き込んだ稲わらによる還元障害があったものの「リゾケアXLは影響を限定的にすることができました※」と付け加えてくださいました。
【リゾケアXLの苗を手に「根が長く伸びているのは健康に育っている証しです」】

直播の常識を変える水管理・雑草管理の簡便性
同社の十二村さんには、直播栽培最大の課題ともいえる水管理と雑草管理におけるリゾケアXLのメリットについて伺いました。「水稲用除草剤を散布する前に3日間ほど干しただけで、あとはずっと水を張りっぱなし。感覚としては移植栽培より楽なくらいです。以前行ったコーティング種子による直播は、芽が出始めてからは3〜4日おきの間断かん水を5回は繰り返さなければなりませんでした。当時は水管理の大変さが身にしみましたよ」と水管理の手軽さを実感されたご様子。
雑草に関してもこのように続けてくださいました。「土に埋没しても芽が出てくれるリゾケアXLなら播種の前日に代かきを行えることも大きなメリットです。(地表にノビエの種が出てくるタイミングとほぼ同時に播種することができますので、)ノビエとの生育競争に後れを取ることもないと思います。加えて、湛水状態も長く水稲用除草剤を散布できる期間も十分に取れるので、従来の直播栽培のように雑草に悩まされることもなさそうです。今回のリゾケアXLの試験圃場では播種時に初期除草剤を、稲の1葉期にアクシズMX1キロ粒剤を施用したのですが、雑草はほとんど見られません。雑草管理は最初の1か月が勝負なので、ここまでくればもう安心です」と頰を緩めます。
【播種から約1か月。直播栽培で悩みの種となる雑草の繁茂は見られない】

【リゾケアXLの生育調査をするRISOCARE事業部 技術普及マネジャー 山下 修】

管理面積の倍増にも対応できるリゾケアXLの可能性
実際に体験したリゾケアXLのメリットは営農面にどのようなメリットをもたらすのでしょうか?十二村さんはこのように考えます。「当社では現在30haの水田を管理しており、それをまかなう育苗ハウスも備えています。しかし今の時代、来年には管理面積が倍増するということも考えられます。1年で育苗ハウスを2倍にすることなどできるはずもなく、そうなったら手に負えません」。
続けて「ハウスもいらない、育苗の必要もない、コーティングの手間もない、さらにドローンでの播種にも向いているリゾケアXLなら、極端な話いくらでも面積を広げられます。多くの産地が抱える人手不足という課題の解決に、無限の可能性を感じます」と期待を寄せてくださいました。
【「リゾケアXLには無限の可能性を感じます」と語る、株式会社夢ファームむげんの十二村秀孝さん】

直播本来のメリットを享受できるリゾケアXL
最後にリゾケアXLの導入を検討されている生産者の方々へ、新田代表よりメッセージをいただきました。「リゾケアXLのセールスポイントに関しては、我々も最初は半信半疑でした。以前の直播の経験から『こんなに遅い時期に播いて大丈夫か?』『そんなに早く発芽するのか?』『雑草は本当に抑えられるか?』ってね(笑)。ところが我々はもちろん、周辺の農家やJAの営農担当者もびっくりするくらい苗立ちが揃い、初期生育も順調でした。ですから『直播栽培は苗立ちが悪く生育も遅い』『雑草や水の管理が大変なわりに収量が上がらない』と考えている経験者にこそ試してほしいですね。」
また「もちろん、これから直播を始めようという未経験の方にもおすすめです。あとはやはり、今後さらに面積を増やしていこうという若い生産者ではないでしょうか。少しでも人手と労力をかけずに規模を拡大していきたい。きっと、そんな願いに応えてくれるはずです」と力強い言葉をいただきました。

※還元障害を防ぐための基本的な耕種的作業はリゾケアXLにおいても必要です。