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米どころ新潟で、リゾケア®XLの試験栽培を実施。直播栽培のベテラン法人が、苗立ちの良さを実感。

技術・営農情報
2021/08/27
新潟県にある大沼生産組合でのリゾケアXLの生育状況

直播栽培を始めて17年になる新潟県刈羽村の農事組合法人大沼生産組合では、2021年JA柏崎・JA全農にいがたの協力を得て、省力化実証をねらいリゾケアXLの栽培試験を行っています。米どころ新潟で播種したリゾケアXLがどのように成長しているのか。鉄コーティングとの違いはどんな点に見られるのか。播種後2カ月が経過した大沼生産組合の試験圃場を訪ねました。

直播栽培の課題、不安定な苗立ちに悩まされる日々


大沼生産組合は2004年から直播栽培に取り組んできており、2021年は13.8haの圃場のうち2.9haが直播栽培です。当初は今とは別の直播栽培を行っていましたが、出芽や苗立ちが悪く、雑草に悩まされることが多かったため、2014年からは鉄コーティングに切り替えました。

しかし鉄コーティングに変えても、直播栽培の課題として感じてきた、出芽・苗立ちの不安定さは、十分には解決しませんでした。「天候の影響や土壌の性質、技術的な問題などを考慮しながら栽培しても苗立ちに問題が残り、うまくいかないこともありました。」

【大沼生産組合代表の長谷川良一さん】
 リゾケアXLの圃場前に立つ新潟の大沼生産組合 長谷川様

大沼生産組合代表の長谷川さんはそう振り返ります。決定的な理由が見つからないまま、圃場の作り方や田面の仕上げなどの技術的な課題と向き合いながら、毎年、試行錯誤を繰り返してきました。

コーティング処理済み種子が届く、リゾケアXL。


そんな中で長谷川さんが見つけたのがリゾケアXLでした。リゾケアXLは『直播だけど、苗立ちが良い。秘密は種子にある。』と紹介されており、試してみたいとJA柏崎の小玉さんに相談しました。

小玉さんは苗立ちの良さにはもちろんですが、リゾケアXLがあらかじめコーティングされている種子であるという点にも関心を持ったといいます。JA柏崎では鉄コーティング作業を外部に委託しているものの、委託先から2021年は十分な量を供給できないかもしれないといわれていたためです。

「コーティング済みの直播栽培用種子を探していたところ、リゾケアXLを知り、使ってみたいと思いました。また、出芽・苗立ち率の向上は、直播栽培の生産者にとって共通の課題ですから、苗立ちが良いのなら、鉄コーティングより良い結果が得られるかもしれないとも思ったんです。」と小玉さん。これなら試す価値があると考えたといいます。 

 

 

JA柏崎・JA全農にいがたの協力を得て、省力化実証を狙いリゾケアXLの栽培試験を実施


「2019年度の統計 によると新潟県の稲作全面積約12万haのうち直播栽培面積は約2,000ha弱(湛水直播+乾田直播の合計値)。全体の1.6%に過ぎません。このうち土中播種よる湛水直播が900ha強、鉄コーティング直播は約800haとなっています。JA全農にいがたが各JAに聞き取りをしたところ、2019年から2020年の直播栽培の取組面積推移は、全体では102%と微増しているものの、鉄コーティングは97%と減少傾向にあるとの結果でした。」とJA全農にいがたの遠田さんが新潟県における直播栽培の現状を教えてくださいました。

【左:JA全農にいがた肥料農薬部肥料農薬推進課調査役の遠田直之さん、中央:大沼生産組合代表の長谷川さん、右:JA柏崎営農経済部営農企画課係長の小玉達典さん】

左:JA全農にいがた肥料農薬部肥料農薬推進課調査役の遠田直之さん、中央:大沼生産組合代表の長谷川さん、右:JA柏崎営農経済部営農企画課係長の小玉達典さん

また、直播栽培が抱える課題についてJA柏崎の小玉さんはこう話します。「やはり苗立ちが安定しないためです。作業の省力化などのメリットは十分に理解しているものの、苗立ち率がネックになり、直播栽培はなかなか広がりません。技術的な課題をクリアしても、春先の不安定な天候の下で、思うような出芽や苗立ちにならないことも多く、数年取り組んだ後、直播から移植に戻す生産者もいます」

このような状況を踏まえ、出芽や苗立ちの不安が払しょくされることで直播栽培が広がり、生産者の省力化が実現できればと、今回の試験が進められることとなりました。

 

 

出芽が早く、播種1週間後の大雨にもビクともしなかったリゾケアXL


リゾケアXLの栽培管理も基本的に鉄コーティングと同じ方法で行っており、品種はともにこしいぶきです。乗用型播種機を用いて、5月8~9日に鉄コーティング種子を、5月10日にリゾケアXL種子を点播しました。
播種後も水管理を含め同じ管理をしていましたが、出芽には違いが出ました。播種日が遅かったリゾケアXLが鉄コーティングとほぼ同時に出芽したのです。
「目で見ててもリゾケアXLは、芽が出るのが早かったですね。直播栽培は種を播いてもちゃんと芽が出るのだろうかと、生産者は常に不安を持っていますので、早く出芽するとうれしいんですよ」と長谷川さん。

【しっかりとしたリゾケアXLの苗立ち。左がリゾケアXL区、右が鉄コーティング区(6/29撮影)】

しっかりとしたリゾケアXLの苗立ち。左がリゾケアXL区、右が鉄コーティング区(新潟の大沼生産組合様にて6/29撮影) 

加えて播種1週間後に叩きつけるような強い雨に見舞われましたが、そのときにも違いが表れました。
「土の表面にあった鉄コーティング種子ですが、強雨によって土中に埋没してしまい、その分、苗立ち率が下がってしまいました。しかし、リゾケアXLはビクともせずちゃんと苗立ちしました。これには驚かされました」

 

   【左がリゾケアXL区、右が鉄コーティング区(6/29撮影)】

苗立ちに差が表れたリゾケアXL区(左)と鉄コーティング区(右)(新潟の大沼生産組合様にて6/29撮影)

緑が濃く、苗立ちの良いリゾケアXLに周辺の農家からも「いいね!」の評価


播種から約2カ月。これまでの成果を尋ねると「作業面は変わらないのに、鉄コーティングと比べると、リゾケアXLは緑が濃く、苗立ちの違いを実感しています」と長谷川さんは話します。

さらにリゾケアXLには殺虫剤がコーティングされていることで、初期害虫であるイネミズゾウムシやイネドロオイムシの加害もない点も評価しています。害虫の発生は鉄コーティングでも少ないといわれていましたが、年によっては悩まれされたこともありました。

「今後も注意深く、見守っていかなければなりませんが、今の時点ではリゾケアXLの方が良い結果が得られていますね。この近隣には直播栽培に取り組む生産者も多いのですが、試験をしていることを知り、みんなが見に来るんです。そしてリゾケアXLの緑の濃い圃場を見ながら『いいね!』と言ってくれます」 長谷川さんはそう笑います。

【緑が広がるリゾケアXLの圃場 (7/7撮影)】
緑が広がるリゾケアXLの圃場 7/7撮影 

今後の推移やどのくらいの収量が得られるかは未知数ですが、採算が取れるようなら来年度以降、リゾケアXLの導入を考えたいそう。現在はハウスでの育苗スペースに限りがあるため、移植用の苗の一部を購入していますが、その分を直播栽培に切り替えることでより省力化することなども検討しています。

【大沼生産組合概要】
組合員数は5名、作付総面積13.8ha。こしいぶき、コシヒカリ、葉月みのり、ゆきん子舞、新潟次郎(飼料用米)のほか大豆・えだまめの栽培も手掛ける