【ドローン直播レポート】予想を超える収量、稲作経営そのものの効率化をもたらすリゾケア®XLによる直播

ドローン播種、播種1か月後の苗立ちをレポートしてきたリゾケアXL福島取材(ドローン播種レポートはこちら、苗立ちレポートはこちら)。今回はその締めくくりとして収穫後の現地を訪れ、リゾケアXL圃場の「収量や品質」についてレポートします。秋晴れに恵まれた2021年11月上旬、稲刈りが一段落した福島県喜多方市の株式会社夢ファームむげんの圃場でお話を伺いました。
驚くべきリゾケアXLの初期生育、その後の出穂も移植とほぼ変わらず
リゾケアXLのドローン播種を実施した品種「里山のつぶ」は、リゾケアXLによる直播栽培が90a、移植栽培が7haという規模で栽培されました。前回の播種1か月後取材でもお伝えしたように、リゾケアXLの圃場は苗立ちが揃い、初期生育も順調だったとのこと。その後、収穫に至るまでの生育状況について同社の新田代表に振り返っていただきました。
「従来の直播水稲であれば、播種は5月のゴールデンウィークごろなのですが、リゾケアXLの播種は5月20日でした。こんなに遅くまいても大丈夫か?という心配はありましたが、リゾケアXLの圃場はびっくりするほど稲の生育スピードが早かったんです。移植よりも出穂が2週間ぐらい遅れると予想していましたが、実際には移植とほぼ変わらない時期に出穂しました」
【リゾケアXLの収穫までの生育状況を振り返る新田代表(写真右)と十二村さん(写真左)】

【リゾケアXLドローン播種当日:3kg/10aおよび4kg/10aを播種】

湛水期間の長さが、初期除草剤の効果をしっかり維持
5月27日に田植えをした「里山のつぶ」の移植圃場は、中干し後の後発ヒエ発生がひどかったそうですが、リゾケアXLの圃場は後発のヒエがなかったと言います。過去に取り組んでいた直播水稲との比較も交え、雑草管理のメリットを同社の十二村さんに伺いました。
「リゾケアXLの播種同時除草剤と初中期一発除草剤の体系の方が、一発除草剤だけの移植より、きっちり雑草抑えられた。以前に取り組んでいた直播水稲では、播種以降の飽水管理の期間が長いので、その間に雑草がはびこってしまったのが課題でした。リゾケアXLの場合は、(殺菌剤スクーデリアESのおかげで)湛水したままで出芽出来るので、播種直後に処理された初期除草剤の効果がしっかり維持されて初期の雑草もほとんど発生しなかったですね」
【播種31日後: 良好な苗立ちを確認。播種から10日後には水面から芽が見え始めていた】

【播種57日後: 生育スピードが早く、後発のヒエも見られない】

再入水後は水を張りっぱなしで、水管理がラク
雑草管理とともに十二村さんが「ラクだった」と喜ぶのが、「水管理の簡単さ」。従来の直播水稲と比べて「非常に省力的」と評価します。
「以前取り組んでいた直播水稲は、飽水管理後に再入水したら1か月間ぐらいは間断かん水を繰り返さないといけません。でも、リゾケアXLは再入水したらあとは水を張りっぱなしで、移植栽培と同じ水管理なので非常に楽でした。「ちなみに、同じように漉き込みを行ったのですが、移植はガス湧きの被害が大きかったですが、リゾケア区は落水時にガスが抜けたのか、ガス湧きの被害が少なかったです」(※注:還元障害を防ぐための基本的な耕種的作業はリゾケアXLにおいても必要です。)
【播種74日後: 青々として良好な生育状況のリゾケアXL圃場】

品質も上々。反収は移植を上回る10俵以上
雑草や水管理がラク、生育が良好でスピーディ。では、肝心の収量や品質はどうだったのでしょうか。答えは十二村さんのうれしそうな笑顔にありました。
「里山のつぶは移植栽培が反当9.8俵、リゾケアXLの直播栽培が反当10.6俵でした。リゾケアXLの方は生育状況がすごく良かったので、JAさんとも『これは10俵ぐらい穫れちゃうかもね?』って話してたら、その通りになった。しかも移植栽培より結果が良かったので正直びっくりしました。全量一等米で、品質も上々です」
【播種130日後 豊かに実った「里山のつぶ」】

新規就農者の初期投資削減にも最適
水稲30haのほか、小麦、そば、ねぎを手がける株式会社夢ファームむげんでは、2021年春から新たに農業研修生として、須藤裕樹さんを採用。農業大学校を卒業し、独り立ちを目指す須藤さんに、新規就農者目線で、播種時から見てきたリゾケアXLについてお話を伺いました。
「実家を継ぐなら別ですが、新規就農して普通に水稲をする場合は、田植え機、育苗用ハウス、苗箱や培土など相当大きな額の初期投資が必要です。でも、リゾケアXLのように初心者でも取り組みやすい直播栽培なら、そうした初期投資も削減できます」
【リゾケアXLの取り組みやすさは新規就農者の初期投資も削減できると農業研修生の須藤裕樹さん(写真左)】

直播と移植の作業を一連のスケジュールでも行える
須藤さんがリゾケアXLの栽培を通じて実感したのは「作業の効率化」でした。農業大学校で実習した直播栽培と比べて、その「初期生育の良さ」に大きな魅力を感じたと言います。
「通常の直播では、移植栽培の圃場よりもかなり早めに肥料散布や代かきといった圃場準備をしておく必要があるので、移植栽培の圃場の肥料散布や代かきの際に、トラクターのアタッチメントをまた付け替えなきゃいけない。でもリゾケアXLは初期生育がすごくいいので、圃場準備は移植栽培と同時期で大丈夫。だから、肥料散布や代かきといった作業が一連のスケジュールの中で行えるんです。これは、農家にとってすごく重要なことだと思いました」と須藤さん。
十二村さんは「作期分散のために直播は早めに播種しなければという概念がありますが、リゾケアXLは移植栽培との同時進行でも問題ありませんし、それでも作期分散はできます」とその作業効率の良さを評価します。
【刈り取りを終えた圃場を前に笑顔がこぼれるお二人】

ドローン播種の圃場も問題なく刈取、来年は乗用播種機でのリゾケア直播も取り組みたい
「里山のつぶ」の収穫は2021年9月下旬。ドローン播種したリゾケアXLの圃場も、移植栽培と同様にスムーズに刈り取りができたそうで「ドローン播種の圃場であっても、特に今のコンバインは全面刈りなので、刈り幅に合わせて進めば刈れてしまいます。6条・4条のコンバインであれば全然問題ないと思います。2022年はドローン播種に加えて乗用播種機での播種も取り入れ、より精度の高いリゾケアXL播種に取り組みたい」と新田代表は言います。
【収穫目前のリゾケアXL種子による「里山のつぶ」】

これまでの経験値で収量的な部分はリゾケア直播で間違いはない
今後のリゾケア直播の計画について「里山のつぶ」なのか「新品種」にするのかなど様々な想いはあるようですが「これまでの経験で収量的な部分はリゾケア直播で間違いはないと思っているので、同じ品種は同じ管理をして、作業やコストの効率化を目指したいです。」
「いま3つの育苗ハウスのビニールが老朽化していて、張り替えようにも結構大きなコストがかかるんです。だったら、育苗ハウスでの栽培をリゾケア直播に切り替えれば、管理関係のコストがダウンしますよね。」と経営を見据えてお話しくださいました。
約5500haの水稲作付面積をもつ喜多方市では、変形地や傾斜地など田植え作業が非効率な中山間地の圃場が相当数あり、直播栽培のドローン播種への興味やニーズが高いのだとか。「こうした側面でもリゾケアXLは、今後ますますニーズが高まってくるはずです」と新田代表と十二村さん。省力化技術を取り入れつつ、これからもこだわりの会津産米をつくり続けていくことでしょう。
【収穫後の圃場前の新田代表と十二村さん】
