直播がもっと身近になる。完全自動航行による播種で、ドローン×リゾケア®XLが描く農業の未来。

晴天に恵まれた去る5月10日、新潟県五泉市の渡辺農園圃場において、JA新潟かがやき、株式会社セキドの協力のもと水稲湛水直播向けコーティング処理済み種子リゾケアXLのドローン播種イベントを実施しました。ご協力いただいた皆様に「直播」「リゾケアXL」「ドローン播種」についてお話を伺いました。
リゾケアXL×ドローン播種で、スムーズかつスピーディーな播種作業
当日はDJI社製農業用ドローンAgras T10の自動航行システムを活用し、リゾケアXLコーティング処理済みのコシヒカリBLをドローン播種しました。播種実演が始まり実際にドローンが飛び立つと、開始後わずか10分足らずで20aの圃場にリゾケアXLコーティング処理済みのコシヒカリBL種子の播種が終了。
【リゾケアXL処理済みのコシヒカリBL種子と使用したDJI Agras T10】

多くの関係者の皆さんが、自動航行によるスムーズかつスピーディーな播種・播種後の田面の様子を、興味深くご覧になり、「リゾケアXL」と「自動航行によるドローン播種」の組合せによる実用性と省力性を間近で体感いただきました。
■実施概要
実施日:5月10日
場所:新潟県五泉市 渡辺農園現地圃場
播種概要:
・品種:コシヒカリBL
・面積:20a
・播種量(乾もみ重として):2.57㎏/10a
・ドローン機種:DJI Agras T10
【播種前:1mの高さから落下させたゴルフボールの上部が30%程度みえる、ドローン播種に適した田面の硬さ(左)】
【播種後:ほぼ土中に播種されたリゾケアXLコーティング種子(右)】

マイナスイメージで敬遠していた従来の直播栽培、そのイメージを変えるリゾケアXL。
試験を実施した渡辺農園では、水稲18ha(コシヒカリBL、新之助、こがねもち、飼料用米)、さといもなどの野菜4haを手がけていらっしゃいますが、今回が初めての「直播栽培」。
お話の節々に栽培へのこだわりを感じさせる代表の渡辺 徹さん。これまで「直播栽培」を導入しなかった理由を伺うと「直播栽培は、周りの話を聞くと『深水過ぎた』『田面の仕上げがむずかしい』『コーティング処理を失敗した』など直播での失敗を耳にしましたし、うまくいっていない圃場も実際に目の当たりしていました」とのこと。
【田面の硬さの状態を確認するシンジェンタジャパン 大泉(左)と代かき時の様子を説明する渡辺様(右奥)】

そんな渡辺さんは、「リゾケアXL」の「ドローン播種」を体感され、どのような実感を持たれたのでしょうか。
「リゾケアXLの場合は、技術的課題もクリアしているので、非常に取り組みやすいと思いました。直播と言えば、苗立ち率の課題がよく言われますが、リゾケアXLは苗立ちを向上させる酸素供給剤のほかに、苗腐病防除の殺菌剤や、イネドロオイムシなど初期害虫を防除してくれる殺虫剤といった3成分が含まれているので、とても安心感がありますね」と渡辺さん。

結果が良ければリゾケアXL直播を拡大したい、今秋の収穫を期待。
また、渡辺農園では例年、水稲作付面積18ha分の育苗箱を3600枚ほど育苗されており、その育苗ハウスの確保や育苗労力、田植えの際の労力など大型農家ならではの苦労も多いのだそうです。
「リゾケアXLのように取り組みやすい直播栽培であれば、移植栽培に必要な育苗ハウスや育苗管理も不要になるし、現在3人で行っている田植え作業は2人で十分になり、田植え作業に必要だった時間もなくなるので、農業経営に大きなメリットがある。だから、今日播種を行ったこの圃場の苗立ちや生育、今秋の収量などを楽しみにしているんです」
つづけて、「結果が良好なら、来年は6haほどをリゾケアXL直播に置き換えていきたいですね」と今後の期待も語ってくださいました。
【左からJA新潟かがやき 五泉アグリセンター 大武英一係長、渡辺農園の代表 渡辺 徹さん、株式会社セキドの糸野隆雄さん】

先進の自動航行システムで播種も簡単。リゾケアXLならタンクの掃除もラク
株式会社セキドの糸野隆雄さんは、「リゾケアXLは他のコーティング種子と比較して、布巾でさっと拭くだけできれいになるので、タンクの掃除が非常にラクです」とオペレーターとしての視点で お話しくださいました。糸野さんは、生産者の方々にドローンをもっと活用してほしいそう。
「意外かもしれませんが、ドローンを購入されても倉庫に眠ったままになっているというケースが非常に多いのが実情です。ドローンは、播種、除草剤や殺菌剤・殺虫剤散布、施肥といった各シーンで活用することができ、費用対効果の面でも非常に有効です」
【自動航行によるリゾケアXLコーティング処理済み種子のドローン播種】
※本実証では、均一に播種することを目的として、事前に設定した斜め対角線に交差して飛ばす飛行ルートでの播種が試された。
そして、糸野さんは「ドローンの活用には、ぜひドローンの自動航行システムをもっと活用してほしい」とおっしゃいます。
「播種にしても、防除や肥料にしても、適切な範囲に適切な量を均一に、しかもドリフトさせることなく散布する必要があります。これをドローンのマニュアル操作で行うのは熟練の職人技です。一方、Agras T10に装備された先進の自動航行システムでは、事前に測量と設定さえ済ませておけば、散布時の操作はボタンを3回押すだけ。ドローンの操作・習熟に時間を割くのではく、播種に限らずこうしたドローンのオートモードを活用すれば、従来の労力が飛躍的に軽減され、余った時間をほかの作業に費やすことができる。これこそがスマート農業の真のメリットだと思います」
【ドローンの活用を語る糸野さん】

リゾケアXL×ドローンで「楽しい農業」をめざし、地域農業の発展に貢献
渡辺農園がある五泉市などを管内とするJA新潟かがやき。管内水稲面積約4000haのうち、直播水稲の面積は約15haほどで、今後の普及が期待されています。同JAの五泉アグリセンター 大武英一係長に「リゾケアXL」 や「ドローン播種」への期待についてお話を伺いました。
「管内では以前からコストの低減や省力化を狙って直播栽培の取り組みが行われていたが、苗立ち不良などで初期生育が安定せず定着するまでに至っていない。リゾケアXLでは苗立ち率の向上・初期害虫の防除など、期待が持てる良い技術が開発されたと思うので、現場に根付いてもらいたい」とのこと。

実際のリゾケアXLの導入コストとその効果について下記のようにも語っていただきました。
「リゾケアXLの導入コストは、殺虫・殺菌成分まで入っているということから考えると、移植栽培の購入苗と比べてコストパフォーマンスが高いですし、得られる省力効果が大きい。経営体の大規模化や複合化が進む中、リゾケアXLの導入で水稲育苗にかかる手間の省力化も図れると思います」

また、本日のイベントを通じて、「『リゾケアXL』と『ドローン播種』を組み合わせることで、農業が今までよりもっと楽しくなることを管内にアピールできる、と実感しました。今後は、楽しい農業・儲かる農業が実践され、次世代の方々にも米づくりに興味を持ってもらい、地域農業の発展に貢献していきたいですね」と大武係長。地域そして次世代農業への思いをお話いただきました。
今回のイベントが地域農業の未来を拓くきっかけの一つになることを、シンジェンタも願っています。
