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ドローン播種から1か月半経過、稲刈りに向けて順調に苗が生育。直播で、育苗・田植え作業などを省力し、余った時間を野菜の作業に使う効率経営へ。

技術・営農情報
2022/08/01
ドローン播種から43日経過したリゾケアXLの圃場

強い日差しが照りつける梅雨明け前の6月22日、新潟県五泉市の渡辺農園におじゃましました。渡辺農園では、去る5月10日に実施した水稲湛水直播向けコーティング処理済み種子「リゾケアXL」のドローン播種から1か月半が経過。苗立ち、初期生育の状況や、今秋の収量への期待感などについてお話を伺いました。

ドローン播種10日後に出芽し、1か月半後には青々と生育


「ドローン播種してから1週間のあいだは正直不安だった」と話す渡辺農園代表の渡辺 徹さん。播種10日後の5月20日に出芽を確認し、取材当日には苗が16cmほどまで生長した、と言います。

「初めての直播だったので、最初は本当に出芽するのかどうか正直不安でした。しかし、ちゃんと出芽して日を追うごとに苗が青々と生長し、今ではだいぶ緑が濃くなってきたので胸をなでおろしています」と渡辺さん。

【渡辺農園の代表 渡辺 徹さん(左)とJA新潟かがやき 五泉アグリセンター 大武英一係長】
渡辺農園の代表 渡辺 徹さん(左)とJA新潟かがやき 五泉アグリセンター 大武英一係長

 

JA新潟かがやき 五泉アグリセンターの大武英一係長も、「ドローンによる散播だったので、乗用播種機の点播と比較すると、どうしても圃場に対する苗の並び方が均一ではありませんが、今は展示圃としてのぼりを立てて周辺にアピールできるレベルの圃場になりました」とおっしゃいます。

【播種43日後(左:6/22撮影)・播種59日後(右:7/8撮影)のリゾケアXLの圃場】

播種43日後(左:6/22撮影)・播種59日後(右:7/8撮影)の緑が濃くなってきたリゾケアXLの圃場
   

移植と比べても田面は軟らかめでOK。代かき作業が前日にできて効率的


18haの水稲を経営する渡辺さんは、今回の「リゾケアXL」が初めて経験する直播栽培。代かきによる田面の仕上げや初期の水管理・雑草管理について、移植栽培との比較をしていただきました.

「移植栽培の圃場は、田面にある程度の硬さがほしいので、荒代のあと中2日おいて植代をかき、その2日後に田植えをしますが、リゾケアXLの場合は移植圃場よりも少し軟らかめの状態で播種OKなので、ドローン播種の前日に2回代かきをしました」。
リゾケアXLの場合、代かきのポイントは『うちの圃場は強粘土質なので、水を少なめにして、ゆっくりと代かきすること』と渡辺さん。代かきの翌日には播種が可能なので作業効率に優れているのだそうです。

【播種当日の田面の様子(1mの高さから落としたゴルフボールの頭が見える程度の軟らかさ)】

播種当日の田面の様子(1mの高さから落としたゴルフボールの頭が見える程度の軟らかさ)

 

移植栽培と同じ湛水管理で、除草剤の効果をしっかり保持。浅水管理により鳥害も防止できた


また、『水管理が難しい』というイメージがある一般的な直播栽培に比べて、リゾケアXLは移植栽培と変わらない水管理で、管理がしやすかったとのこと。

「播種2週間後のタイミングで、倒伏軽減のため強制落水をしましたが、その後は移植栽培と同様の湛水管理だったので、管理もラクでした」。

リゾケアXL圃場の除草体系は、播種時に初期除草剤、その約5週間後に初・中期一発処理除草剤を散布、今後は雑草の状況に応じて7月中旬に後期剤の散布を予定されているそうです。

「除草体系は移植栽培と同じです。リゾケアXLの圃場は、湛水管理でOKなので初期除草剤の効果がしっかりと発揮でき、播種から40日ぐらい雑草を抑えてくれましたね。近くに河川があり、カモによる鳥害を心配していましたが、浅水で管理していたので、カモやスズメの鳥害もありませんでした」。

【「湛水管理により初期除草剤の効果が十分に発揮され、目立った雑草は見当たらない」と渡辺さん】

「湛水管理により初期除草剤の効果が十分に発揮され、目立った雑草は見当たらない」と渡辺さん
 

近隣の圃場ではイネドロオイムシが発生。殺虫成分が含まれているリゾケアXLは安心感が違う


今回の取材でたまたま通りかかった近隣地区の移植栽培圃場は、イネドロオイムシに葉を食害され、大きな被害を受けていました。渡辺さんも「河川近くのこの辺りではイネドロオイムシが多発生する傾向にある」とおっしゃいます。

「川の近くは雑草や山林など、イネドロオイムシが越冬できる場所がたくさんある。実際に目に見える被害を受けている近隣の圃場を私も知ってます。せっかくの直播水稲で省力化を図れても、苗が食害を受けたらアウトです。その点、リゾケアXLは殺虫成分が含まれているので、すごく安心感がありますね」。

【イネドロオイムシの加害をうけ、生育が阻害された稲】

イネドロオイムシの加害をうけ、生育が阻害された周辺圃場の稲
 

JA新潟かがやきの大武係長も、「一般的な直播栽培では、播種後に殺虫剤を散布しなければなりませんが、リゾケアXLは安心感が違います。また、薬剤があらかじめコーティング処理済みなので、非常に助かりますね」と作業性のメリットを感じていらっしゃいました。

 

管内の他の生産者様からも、リゾケア直播を希望される声が


JA新潟かがやき管内でも、以前直播栽培にチャレンジしながらも断念してきた生産者の方が多くいらっしゃるそうです。

「組合員の高齢化や労働力不足、圃場集積などの背景から、今後直播栽培の面積増加が予想されます。『ウチでも来年リゾケアXLをやりたい』という生産者の方が、もうすでにいらっしゃいますし、取り組みやすい直播栽培技術として、リゾケアXLにはとても期待しているんです」と大武係長は地域農業の今後を見据えていらっしゃいました。

渡辺さんも「リゾケアXLを使用した圃場を近隣の方々が興味持たれているのを日々感じます。この後、収量がどうなるか、近隣の方々も興味深々なんだと思います」とのこと。

 

【ドローン播種から59日経過しさらに緑が濃くなり、移植と遜色がないゾケアXLの圃場】

ドローン播種から59日経過したリゾケアXLの圃場

育苗箱や育苗ハウスなどの資材が不要。育苗に使っていた時間・労力・スペースを野菜の栽培に


ドローン播種取材の際にも「リゾケアXLなら、移植栽培に必要な育苗ハウスや育苗管理も不要になる」と評価されていた渡辺さん。あらためて、リゾケアXL導入による農業経営のメリットについてお話いただきました。

「育苗箱や培土、育苗ハウスなどの資材もいらなくなるし、育苗管理や田植え作業の時間や労働力が省力化できる。ほんとに育苗箱を洗わなくて済むってラクですし。うちではきゅうりやトマト、なすなどの野菜も手がけていてるので、リゾケアXLで省力化できた時間をそうした野菜の管理作業にまわすことができ、経営的にも効率化が図れます」

そして、育苗ハウスを見せていただきながら、来春の希望も伺いました。

「実際、育苗ハウスでこの時期はきゅうりを栽培していますが、育苗が不要になったスペースで早いタイミングからきゅうりを栽培できれば、収穫の期間を延ばすことができますよね。来年はぜひ6haほどの移植栽培をリゾケアXLに置き換えていきたいですね」

【育苗箱1500枚ほど収容できるハウス。「育苗が減れば野菜などに時間とスペースを活用できる」と話す渡辺さん】
育苗箱1500枚ほど収容できるハウス。「育苗が減れば野菜などに時間とスペースを活用できる」と話す渡辺さん

今秋の稲刈りに向けて期待をふくらませる渡辺さんとJA新潟かがやきの大武係長。管内のあちこちに直播栽培の水田が広がる日も、そう遠いことではないのかもしれません。