5分でわかるRISOCARE。リゾケア®直播で規模拡大・経営改善を実現できるか?- 第12回 農業Weekでのセミナー「水稲湛水直播栽培向けソリューションRISOCARE®の開発と現地実証」サマリー -

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第12回 農業Week特設会場セミナー「水稲湛水直播栽培向けソリューションRISOCARE®の開発と現地実証」

2022年10月12日、日本最大級の農業に関する展示会である農業Weekの特設会場にて、弊社RISOCARE事業部の技術普及担当部長の立川が演者となり、RISOCARE(リゾケア)の開発の背景と水稲湛水直播栽培成功のポイントについてセミナーを行いました。ご来場できなかった方、水稲湛水直播・リゾケア直播に興味をお持ちの方に向けて、このセミナーを要約してお届けします。

本記事の主なトピックは、以下のようになります。

  1. 既存直播栽培の課題を乗り越えるために、開発されたRISOCARE
  2. 3種類の種子処理剤が苗立ちと初期生育をサポート。リゾケアXLコーティング処理済み種子の秘密 
  3. 実証試験での苗立ち確保成功は9割。栽培実績エリアも拡大
  4. リゾケア直播成功は、適切な圃場・播種時期・播種量がキホン
  5. RISOCAREで、直播成功の喜びを多くの生産者様に

 

既存直播栽培の課題を乗り越えるために、開発されたRISOCARE


日本農業の課題として、農業従事者の高齢化と減少の同時進行、それによる労働力不足があげられます。水稲栽培は農地の担い手への集積が進んでいますが、担い手不足は解消されておらず、水稲栽培の効率化が強く求められています。そこで水稲においては、直播栽培の導入が検討されてきました。直播栽培には数多くのメリットがあり、代表的なものとして下記のようなものが挙げられます。

  ■ 直播栽培のメリット

  • 育苗が不要のため労働時間の大幅削減が可能
  • 田植作業が不要なため、苗箱の運搬などの重労働からの解放
  • 移植栽培との組み合わせにより春作業の作業分散が可能
  • 同一品種でも移植栽培とは収穫期もずれるので秋の作業分散もできる

これらは規模拡大の可能性を広げたり、他作物への労力配分の余裕を生み出すことなどが期待されています。ところが既存の直播技術では、直播栽培の成功を阻む下記のような課題が存在します。

  ■ 直播栽培の課題

  • コーティング作業の労力と種子管理の難しさ
  • 圃場管理の難しさ(高低差・均平度の管理、代かき硬度の管理)
  • 苗立ちの不安定さ
  • 水管理の複雑さ
  • 雑草問題

【直播栽培の課題の一つの圃場の均平度。広い圃場ほど水管理や均平を取るのが難しい】

均平の取れていない圃場

そうした中、直播栽培のメリットを最大限に享受できるよう、既存直播栽培が抱えていたこれら課題を解決するために生み出されたのが、水稲湛水直播向けソリューション「RISOCARE(リゾケア)」であり、その第一製品が「リゾケアXLコーティング処理済み種子」です。

 

3種類の種子処理剤が苗立ちと初期生育をサポート。リゾケアXLコーティング処理済み種子の秘密


「既存の直播技術が抱えていた課題を解決するために生み出された」と立川が話すRISOCAREの栽培上のメリットは、大きく下記のようなものです。

  ■ RISOCAREのメリット

  • 均平度を取ることが難しい圃場でも安定した苗立ちが確保できる。
  • 播種直後から湛水管理することで、除草剤の効果が発揮される。
  • ラフな水管理でも苗立ちが安定するので、水管理のストレスを軽減できる。

これらのメリットから、RISOCAREは育苗ハウスの増設がネックになっていた「規模拡大」への壁を取り払うことができ、また育苗にかかる労力を他の作業に配分することにより、生産者様の「経営改善」にも寄与できると期待されています。

では、RISOCAREがいかにして既存の直播技術が抱えていた課題解決に貢献できるのでしょうか?その秘密は、種子にコーティングされた3つの種子処理剤とその種子処理技術にあります。

 

【リゾケア直播導入で規模拡大・経営改善への可能性を説くRISOCRE事業部 立川】

リゾケア直播導入で規模拡大・経営改善への可能性を説くRISOCRE事業部 立川


|オクソスDS 苗立ちを安定させる酸素供給剤

一つ目がオクソスDS。有効成分は過酸化カルシウムです。オクソスDSは酸素を供給し苗立ちの安定に寄与します。リゾケアXLの大きな強みは、種もみが表層であろうと少々埋まっていても安定した苗立ちが確保できる点にあります。その原動力となるのが、このオクソスDSの酸素のチカラです。また、オクソスDSのコーティングは、錘(おもり)効果も兼ねており、浮き苗になりやすい表面播種の問題も軽減できます。

 

【リゾケアXL種子のコーティング層(オクソスDS)から酸素が出る様子】

 


|スクーデリアES 苗立ちをサポートする殺菌剤

二つ目はスクーデリアES。土中のピシウム菌由来の苗腐病からイネを守り、より良好な苗立ちをサポートします。苗腐病は、あまり広く知られていませんが、従来の湛水直播の苗立ち不良の原因の一つとして日本植物病理学会で報告されている病害です。リゾケアXLは、スクーデリアESにより苗腐病を防除し、安定した苗立ちをサポートします。(苗腐病についてはコチラ

 

【苗腐病の原因菌のピシウムアレノマネスと苗腐病の症状(右側が重症)】

苗腐病の原因菌のピシウムアレノマネスと苗腐病の症状(右側が重症)

 

|フォルテンザFS 初期害虫からイネを守る殺虫剤

三つ目は、初期害虫を防除するフォルテンザFSです。イネミズゾウムシやイネドロオイムシに効果を発揮し、イネの葉・根を守ります。

【生育初期のイネを加害するイネミズゾウムシ(左)やイネドロオイムシ(右)】

生育初期のイネを加害するイネミズゾウムシ(左)やイネドロオイムシ(右)

このようにリゾケアXLは3つの種子処理剤を組み合わせることにより、表面播種でも、湛水状態が続いた場合でも、土中播種でも、安定した苗立ちが確保できるのです。


|世界をリードする種子処理技術が製品能力を引き出す

また「RISOCAREのコーティングを自分で行うことはできないのか?」という、よくある質問についても言及しました。

「直播栽培を成功には種子処理剤の効果だけでなく、様々な要素が影響します。種子処理剤が適切に処理されていないと、十分な能力は発揮できません。実際に性格の異なる3種類の種子処理剤を種子に均一に処理するには高度な技術が必要です。シンジェンタには、種子処理を専門に研究するThe Seedcare Institute(以下SCI)が世界中にあり、日本には茨城県牛久市にあります。RISOCAREは、そのSCIのノウハウを結集して生み出されたソリューションなのです」

 つづけて「SCIで開発されたリゾケアXLのレシピは、環境への暴露を減らし、処理済みの種子のダストを抑え、実際の散布時のドローン始めとした散布装置の汚れも軽減するように設計されています。さらに、保存性や品質の評価、輸送時や使用時の安全性も含め検討した結果をふまえ、工業化(管理された作業工程を確立)し、十分な能力を発揮するコーティング処理済み種子リゾケアXLをお届けすることが可能となりました。」とRISOCAREを支える種子処理技術を紹介しました。

 

【安定した苗立ちはもちろん、ダストを抑えドローン播種への適性を兼ね備えたリゾケアXL種子】

安定した苗立ちはもちろん、ダストを抑えドローン播種への適性を兼ね備えたリゾケアXL種子

 

【ゴム手袋に付着したコーティング種子のダストの比較:リゾケアXL(左)、既存資材A(中央)、既存資材B(右)】

ゴム手袋に付着したコーティング種子のダストの比較:リゾケアXL(左)、既存資材A(中央)、既存資材B(右)

 

実証試験での苗立ち確保成功は9割、栽培実績エリアも拡大


2021年は東北・北陸を中心に実証を行い、2022年はさらに地域を拡大し、ほぼ本州全域にまで広げ、実証試験数も3倍以上に増えたました。一部地域では販売もスタートしており、2023年度には、さらなる販売地域拡大を計画しています。RISOCAREは着実に普及しており、ブースでも各地の栽培事例を紹介しました(栽培事例はコチラ)。
 

【リゾケアXL栽培実績エリア拡大 2021年 vs 2022年】

リゾケアXL栽培実績エリア拡大 2021年 vs 2022年

また、現地実証について立川は「2022年の試験においては、苗立ち確保について成功された方が9割」と報告しました。一方で「残りの1割は、リゾケアの効果は確認されたが、その後の除草剤による障害や鳥害等によりうまくいかなかった方もいらっしゃる」と、うまくいかなかった事例から見えてきた成功のためのポイントも紹介しました。

 

【セミナーで紹介されたドローン播種した福島の試験事例 時間の経過とともにしっかりと緑に覆われている】
品種:天のつぶ 左:播種25日後、右:播種57日後

セミナーで紹介されたドローン播種した福島の試験事例。時間の経過とともにしっかりと緑に覆われている。品種:天のつぶ 左:播種25日後、右:播種57日後

 

リゾケア直播成功のポイントは、適切な圃場・播種時期・播種量


実証試験の結果からは、改めて栽培計画(適切な圃場に適切な時期に適切な播種量を播種する)が重要なポイントであることが分かりました。極端な湿田や還元障害が予想される圃場、鳥害が懸念される圃場では、苗立ち不良になりやすいので、圃場の選定は非常に重要です。

一方で、栽培効率を高めることを考えると、直播圃場の集積による団地化も重要であるといえます。具体的には、ドローン播種の際に、隣の圃場を気遣い、畦畔際を考慮するあまり、播種ムラが目立つ圃場が多く見受けられました。このため、本格導入する際には、直播栽培の団地化を行うことが重要です。また、団地化を行うことで鳥害の軽減も期待できます。

加えて、品種を切り替えた圃場において、前作のこぼれ籾からの漏生イネの発生が見受けられました。品種を切り替える際には、一旦切り替え品種にて移植栽培を行い、こぼれ籾対策を1年実施したのち翌年は直播に切り替える事や種子発芽後枯殺効果が期待できるプリグロックスLを刈り取り後に処理するなど、こぼれ籾対策を施す必要があります。

また、鳥害・水管理につては、鳥害リスクがなければシンプルな水管理で十分なことが分かりました。ただ、鳥害リスクがある場合、田面を出さない程度の浅水管理を基本にしつつ、鳥の種類に応じた複数の鳥害対策を組み合わせることが重要となります。

 

RISOCAREで、直播成功の喜びを多くの生産者様に


実証試験を通じてコミュニケーションを取った生産者の方々からは、驚きの声、喜びの声が多数届いております。それらのごく一部を弊社ブースに掲出しました。

RISOCAREは、直播栽培の導入のハードルを下げることにより、生産者の皆さまが移植栽培における様々な工程をスキップし、その分を他の作業に振り分けることを可能にします。移植栽培とリゾケア直播を組み合わせることで、その先の「規模拡大」や「経営改善」も期待されます。さらに、ドローンなどのスマート農業と組み合わせることでRISOCAREが生産者様の更なる効率化に貢献できればと思います。


シンジェンタでは、リゾケア直播を導入した生産者様が感じた直播成功の喜びを、より多くの皆様にも分かち合っていただけるよう、RISOCAREを拡大を図っていきたいと考えております。

 

【生産者様から声を集めた第12回 農業WeekのRIOSCAREブース】

生産者様から声を集めた第12回 農業WeekのRIOSCAREブース