湛水直播リゾケアXLで栽培したお米が、 コンテストで優良金賞を受賞。 ドローン直播を軸に据え、 誰にでも取り組みやすい農業の構築をめざします。
2023年に大学を卒業し、家業の水稲農家を継いだ鳥取県西伯郡大山町の馬田雄大(まだたけひろ)さん。9割が移植水稲だったお父様の水稲経営を引き継ぎ、就農1年目には6割以上を、2年目の今年は9割以上をリゾケアXLなどの直播水稲に切り替えました。
また、昨年はリゾケアXLで栽培した「きぬむすめ」を山形県のおいしい米コンテストに出品し、優良金賞を受賞。その水稲経営に対する考え、スマート農業やリゾケアXLへの取組みについてお話を伺いました。
ドローン播種や可変施肥などスマート農業を実践
地元の農業大学を卒業後、祖父の代から続く農家を継いだ鳥取県の馬田さん。就農2年目でありながら、湛水直播水稲(以下、湛水直播)、冬期代かき、ドローン播種・可変施肥、営農・サービス支援システムなどスマート農業の活用にも積極的に取り組んでいらっしゃいます。
馬田さんは就農当初より、ドローンによる播種、施肥、病害虫・雑草防除を導入し、専用アプリケーションでこれらのデータを管理。所有ドローンの飛行時間、散布ルート、散布量などの情報をスマートフォンやパソコンで管理する作業の見える化や、水稲圃場の可変施肥に活用していらっしゃいます。さらに、食味・収量センサー付きのコンバインで、稲の収量・食味のデータが管理できる営農・サービス支援システムも導入し、水稲経営効率化の取組みに余念がありません。
「農薬や肥料のコストを入力することで、圃場1枚ごとのコストが分かる。コンバインで刈り取ると即座にその圃場ごとの食味や収量も分かるので、次作への対策が明確に把握できるんです。例えば去年は猛暑日が多かったので、平均反収が良くなかった。だから、圃場ごとのデータを分析して、穂肥の投入量をどのぐらい増やしたらいいかなどの判断に活かしています」。
2024年は湛水直播を12haに拡大し、全面的に直播へ移行
就農1年目の2023年は湛水直播8.2ha、移植5haでスタート。今年は湛水直播12ha、移植30aとほぼ全面的に湛水直播に移行されています。就農初年度から湛水直播導入に踏み切った理由は、地域の未来を見据えたその農業観にありました。
「地域の農業人口の減少や、それに伴う作業受託などの受け皿として農業を考えた時に、家族経営の移植では労働力的に限界があるのは自明の理でした。そこで、うちではドローンを活用した直播を主軸に据え、スマート農業を積極的に取り入れながら面積拡大に対応できるような経営をしていくことに決めたんです」。
育苗、粗起こし、畔塗りも必要なし。湛水直播の代かきは冬期と播種前の2回だけで断然ラク
「水稲栽培の経験がなかったから、逆に湛水直播導入へのハードルは高くなかった」という馬田さん。これからの規模拡大を考えたら、選択肢はこれしかないと思った、ともおっしゃいます。
「移植水稲の場合、農協に購入苗を引き取りに行かなきゃいけないし、田植えの日程も決められてしまう。湛水直播なら好きな時に代かきして、好きな時に播種できるし、田植え作業は1日2ha程度が限界だけど、直播なら3~4倍は播種できますからね。それに、何と言っても育苗がないし、粗起こしとか畔塗りも必要ない。うちは冬期に代かきしてるんですが、1月に1回と播種前に1回だけで済むから断然ラクなんですよ」とそのメリットを挙げてくださいました。
他のコーティング資材と比較して播種量は半分でOK。1回のフライトでより多くの面積をドローン播種できる
湛水直播への取組みは、昨年はリゾケアXL(きぬむすめ)8.2ha、2024年はリゾケアXL(ひとめぼれ、コシヒカリ)6haと他のコーティング資材(以下、他社資材)6haをドローン播種で実施されています。リゾケアXLでは確かな苗立ちなど多くのメリットを実感されたとのこと。
「苗立ちは抜群に安定してますね。それに、他社資材はドローンのモーターや散布装置にコーティング剤がこびりついちゃうんですが、リゾケアXLはこびりつくこともなく、ドローンにやさしく掃除もラクです」。
また、「リゾケアXLなら、午前中に代かきして午後に播種しても大丈夫。種子が多少土中に潜ってしまっても発芽率がいいんです」とおっしゃいます。
また、他社資材と比較した場合のリゾケアXLのメリットとして、馬田さんが強調されていたのは、ドローン播種時のコストパフォーマンスについて。
「苗立ち率が80%以上あるから、他社資材と比べて播種量は半分ぐらいで済む。だから、ドローン1回のフライトでより多くの面積に播種できるんです。うちのドローンは50kg搭載できるから1回のフライトで1.6ha分の播種ができて、すごく効率がいいですね」。
リゾケアXLは誰にでも取り組みやすい直播。アピロファースト1キロ粒剤はヒエをしっかり抑えて稲への安全性も問題なし
「湛水直播は、雑草管理も重要なポイント」と馬田さん。雑草をしっかり抑えれば、移植と同等の反収を確保できる──とおっしゃいます。
「リゾケアXLは、播種後2週間ぐらいで1回だけ落水すればいいから超シンプル(笑)。何回も落水すると雑草発生のリスクが高まるから、その点でも管理がしやすい直播です。言い換えれば、誰にでも取り組みやすい直播って言えるんじゃないですか」。
馬田さんは、今年リゾケアXLの一部圃場で、湛水直播専用 初期除草剤アピロファースト1キロ粒剤(以下、アピロファースト)を播種時にドローン散布し、その後、初・中期一発除草剤や中・後期除草剤との体系処理で雑草を管理されました。
「2成分入っていて、播種時にまいてもしっかり効いて、しかも経済性が高い除草剤ってなかなか選択肢が少ない中、アピロファーストは播種時から湛水管理の2週間、しっかりヒエを抑えてくれましたね。稲への安全性も問題なしで薬害も全くありませんでしたし、苗立ちも安定していました」。
リゾケアXLで栽培した「きぬむすめ」がおいしい米コンテストで優良金賞を受賞
昨年、山形県で実施された「第17回あなたが選ぶ日本一おいしい米コンテストin庄内町」では、馬田さんが出品したリゾケアXLの「きぬむすめ」が優良金賞を受賞。直播栽培で初の受賞事例となりました。消費者が実際に食べ比べて食味の優れたお米を選ぶこのコンテストでは、メジャー部門出品220点のうち最優秀金賞、優秀金賞、優良金賞を選出。自然農法や肥料・資材にこだわったお米ばかりが並ぶ中、一般的な化学肥料しか使用していないという馬田さんの「きぬむすめ」が、受賞したポイントは何だったのでしょうか。
「あくまでも私見ですが、散播なので株同士が養分を取り合ってチッソの含有量が下がることで食味が上がったというのが一つ。もう一つは、移植は田植えの時に苗箱から根を切って田植えするので、生育がいったん止まるけど、直播はそのストレスがなく、稲本来の姿で生育することが食味につながったんじゃないか、と考えています」。
美味しいお米づくりにも心血を注ぎ、「来年も引き続きリゾケアXLにチャレンジしていきます」と力を込める馬田さん。農地の流動化に対応するためにドローン直播をメインに据え、“誰でもできる農業”を地域のために構築していきたい──そして「2040年には1000haを集積するのが目標」と目を輝かせていらっしゃいました。
ご両親とともに水稲約12ha(コシヒカリ、ひとめぼれ、ゆうだい21号、にじのきらめき、えんむすび、星空舞、きぬむすめ)、だいず5haを作付。
雄大さん(写真中央)が水稲、お父様(写真左)がだいずを担当。写真右はJA鳥取西部 の山形祐季さん