リゾケア®XL取り組み3年目の夏。相性の良い初期除草剤アピロファースト1キロ粒剤などとの体系処理で安心の水稲直播栽培を実現。

技術・営農情報
有限会社川口グリーンセンター専務取締役 尾崎和弘さん

宮城県栗原市でひとめぼれ、ササニシキ、ミルキークイーンなど水稲83haを作付され、令和3年度全国優良経営体表彰や第53回 日本農業賞大賞(個別経営の部)も受賞されている有限会社川口グリーンセンター。2021年から水稲湛水直播向けコーティング処理済み種子「リゾケアXL」を導入され、2023年で3年目を迎えます。「直播水稲なのに雑草管理がラク」と話す同社の専務取締役 尾崎和弘さんに詳しくお話を伺いました。

 

10年前にチャレンジした直播では、ノビエなどの雑草に負けて反収がダウン


同社ではJGAP認証を取得し、つきあかり、ひとめぼれ、ササニシキ、つや姫、ミルキークイーン、みやこがねもちといった品種を栽培。また、地域の作業受託や、育苗ハウス(15a)2棟で販売用の苗を含めた1万4千枚の育苗箱栽培を手掛けるなど、大規模な水稲事業を展開されています。
規模拡大に伴い、同社がはじめて直播栽培に取り組んだのが約10年前。無人ヘリコプターの散播による直播栽培を2~3年続けた結果、続行を断念されたそうです。
「ひとめぼれとミルキークイーンでチャレンジしたんですが、雑草に負けましたね。後発のノビエがすごくて、後期除草剤もほとんど効きませんでした。散播だから倒伏しちゃったし、反収は地域の平均8俵よりもガクンと落ちて、5~6俵しかなかった」と悔しそうに振り返る尾崎さん。その当時、直播に使用できる初期除草剤を播種直後に、イネ1葉期以降に使用できる初・中期一発除草剤を播種25日ごろに散布されていたそうですが、ノビエなどの雑草が抑えきれずに直播栽培はあきらめたのだそうです。

同社直売所では、商標登録済みの自社ブランド「みちのく三姉妹」(長女:ササニシキ、次女:ひとめぼれ、三女:ミルキークイーン)などに人気が集まる
【同社直売所では、商標登録済みの自社ブランド「みちのく三姉妹」(長女:ササニシキ、次女:ひとめぼれ、三女:ミルキークイーン)などに人気が集まる】

 

リゾケアXLでひとめぼれの反収8俵を実現。播種前日の代かきでノビエの生育スタートを遅らせ、水稲除草剤の効き目を最大限に


そんな直播水稲への負のイメージを払拭するきっかけとなったのが、リゾケアXLの導入でした。初年度の2021年には40a(ひとめぼれ)、2022年は1ha(つきあかり)、2023年は1ha(ひとめぼれ)でリゾケアXLによる直播栽培を実施。2022年は東北全体でシーズン中の降水量が多かった影響で、移植水稲の平均反収よりやや少なくなったものの、初年度の2021年は移植水稲と同等の反収8俵を実現し、今年2023年(7月4日取材時点)も順調な生育で初年度同様の反収が見込まれています。
「10年前に挑戦した直播は苗立ち率50%ぐらい。でもリゾケアXLは苗立ちが良かったね。播種15日後くらいには筋状に見えて苗立ち率は80%近くありました」と話す尾崎さんの笑顔の理由は、苗立ちの良好さだけではありません。
「以前チャレンジした直播は、播種3日前には代かきして田面を整えないといけなかったから、イネ1葉期のころにはノビエが大きくなっちゃって初・中期一発剤を撒いてもノビエが抑えきれなかった。特に後発のノビエがひどくて、後期剤も効き目なしでしたからね。でも、リゾケアXLは、播種前日の代かきでOKだから、まず、ノビエの生育が遅くできるでしょ。初期剤をきっちり効かせて、まだノビエが小さいうちに、初・中期一発剤の効果を最大限に発揮でき、雑草全般がばっちり抑えられた。後期剤を撒かずに済んだのですごく助かりました」と喜びを隠し切れません。

アピロファースト1キロ粒剤

 

イネへの安全性が高い初期除草剤アピロ®ファースト1キロ粒剤+初・中期一発除草剤ジャンダルム®MXジャンボの体系処理で雑草をしっかり防除


尾崎さんは2023年、1haのひとめぼれのうち60aを乗用播種機で点播、残り40aはドローンでリゾケアXLの播種をされました。水稲除草剤は、乗用播種機では播種と同時に、ドローンでは播種当日にそれぞれ初期除草剤アピロファースト1キロ粒剤(以下、アピロファースト)を散布。イネ1葉期の播種23日後には、以前から使用されている初・中期一発除草剤ジャンダルムMXジャンボを投げ込み処理されたとのことです。今回初めて使用されたアピロファーストにはどのような印象を持たれたのでしょうか。
「ちゃんと2週間ぐらい雑草を抑えてくれたし、イネへの影響もなかったよ。初期剤の役目をきちんと果たしてくれたっていうイメージですね。イネへの安全性が高い初期除草剤アピロファーストとノビエをしっかり抑えるジャンダルムMXジャンボの体系処理は、播種前日に代かき可能というリゾケアXLのメリットを最大限に活かせる組み合わせなんじゃないですか」との実感を語ってくださいました。

 

2023年は落水期間を10日間にしたのが功を奏し、地域にマッチしたリゾケアXLの水管理に


3年にわたりリゾケアXLによる直播栽培を手掛けてきた中で、2023年の水管理が最もリゾケアXLにマッチしていた、と尾崎さんはおっしゃいます。
「2022年までは播種10日目に落水し、落水期間を3~4日間おいて再入水していました。でも、そのときはイネの姿がちょっと細長い感じだった。それで今年は播種7日後に落水して、落水期間10日間に延長し、その後再入水してみました。この地域では落水期間の気温が低めだから、10日間たっぷりと(土壌に)酸素を吸わせた方がいいみたい。それが功を奏したようで、再入水のときのイネの姿がずんぐりとがっしりしていて、7月現在でこんなに株がしっかりしているでしょ。今から刈り取りが楽しみなんです」。

取材日の2023年7月4日、リゾケアXLの稲はしっかりとした株が根付いていた
【取材日の2023年7月4日、リゾケアXLのイネはしっかりとした株が根付いていた】

 

直播最大のメリットは田植えに必要な作業が不要なこと。次シーズンはリゾケアXL の圃場をさらに広げたい


83haの水稲を作付する同社では、毎年5月7日ごろから約1ヵ月にわたり田植え作業が続くそう。直播栽培の最大のメリットは、「田植えに必要な作業が不要なこと」と尾崎さん。
「移植水稲は、田植えや苗運びはもちろん、育苗作業や苗箱の洗浄も大変。それに何といっても、育苗箱への播種作業には14人ぐらい必要で、コストや労力がかかる。直播水稲はそれらが要らなくなるのが一番メリット大きいよね。リゾケアXLは今までで一番取り組みやすい直播栽培。ポイントは水持ちのいい圃場を見極めながら毎年圃場を変えて、より雑草管理をしやすくすることだと思っています」。
「来年はリゾケアXL の圃場を3haぐらいに広げ、将来的には徐々に導入を増やしていきたい」と意欲的な尾崎さんでした。

ドローンで播種したひとめぼれの圃場。乗用播種機での播種と比べても遜色はない
【ドローンで播種したひとめぼれの圃場。乗用播種機での播種と比べても遜色はない】
有限会社川口グリーンセンター専務取締役 尾崎和弘さん

 

 

 

 

 

有限会社川口グリーンセンター専務取締役 尾崎和弘さん
同社では、ウェブサイトや自社直売所でのコメ販売の他、米粉パンなどの6次産業化や、スプレー菊・ストックの栽培も展開
※掲載内容は取材当日のものです